労務・社会保険Q&AReference
【労働契約法】転換義務
派遣労働者として1年間の有期契約を複数回更新している社員がいます。本人も無期雇用への転換を希望しており、今月末で雇用期間が通算5年に達します。転換のタイミングは、通算5年に達する見込みとなった時点と、実際に5年間雇用した時点と、どちらになるのでしょうか?
有期労働契約の労働者を無期労働契約に転換する義務が使用者に生じるのは、平成25年4月1日以降に開始される労働契約において、通算5年を「超えて」繰り返して更新された場合で、1年の有期労働契約であれば、5年目が満了し6年目の契約期間に入る時点で、当該労働者が無期雇用への転換を申し込むと使用者にはそれに応じる義務が課されます。
【健康保険法】適用拡大
パート従業員等に対する社会保険の適用範囲が拡大されましたが、適用となる対象者は?
平成28年10月1日から、以下の条件を満たす短時間労働者は社会保険の加入対象となりました。
①週の所定労働時間が20時間以上
②勤務期間が1年以上(見込み含む)
③月の報酬が8.8万円以上
④学生以外
ただし、経過措置で「当分の間」500人以下の企業は適用除外となっています。
【厚生年金保険法】保険料額
社会保険料は毎年のように金額がアップしている気がしますが、厚生年金の保険料はどのように決まるのでしょうか?
厚生年金の保険料は、標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じて算出し、労働者と使用者がそれぞれその半額を負担しています。平成16年の法改正で、「将来の年金給付に必要な費用の予想額を算出し、そこから必要な保険料率を算出する方式」から「将来にわたる保険料率を固定し、この保険料率に合わせて年金を調整する仕組み」に転換しました。これは、高齢化の進展等により、急ピッチな保険料率の引き上げが不可避の状態に陥ったためです。平成16年のスタート時の保険料率1000分の139.34から順次引き上げられ、平成28年9月には1000分の182.82と30%のアップとなっております。「固定の保険料率」は1000分の183.00で平成29年9月にそのレベルに達っしたので、今後は固定される予定です。
【雇用保険法】高年齢被保険者
法改正により新たに「高年齢被保険者」という区分が設けられ、65歳以上で雇用される人も保険加入が義務付けられました。既に「高年齢被保険者」の資格を持っていた人はどのような位置付けになりますか?
改正前の雇用保険法では、65歳に達した日以後に雇用される者は適用除外で、65歳に達した日の前日から引き続き雇用されている場合は、「高年齢継続被保険者」として資格を継続していました。平成29年1月1日からは、65歳に達した日以降に新たに採用される者も「高年齢被保険者」という区分を設けました、「高齢者継続被保険者」の資格を有していた人は、施行日に自動的に「高齢被保険者」に切り替わりました。
【労災保険法】業務上か通勤上か
派遣労働者がいったん業務の報告等で派遣元に行ってから派遣先で就業する場合、①自宅から派遣元、②派遣元から派遣先へ行く途中に被災したときは、業務上災害、通勤災害のどちらで処理すべきなのでしょうか?
労災保険法では、通勤について、住居と就業場所間の移動、就業場所間の移動、一定の場合の住居間の移動と定義しています。派遣労働者の就業場所は通常「派遣先」ですが、通勤災害の認定にあたって、①派遣元または派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、または終了する場所を「就業の場所」として扱いします。派遣元で業務を開始・終了したと判断されれば、自宅間の往復行為も「通勤」に当たります。②派遣元と派遣先事業所との間の往復行為については、それが派遣元または派遣先事業主の業務命令によるものであれば、一般に業務遂行性が認められ、「業務上災害」となります。