廃棄物・リサイクルQ&AQ & A
Q 災害廃棄物処理の根拠と仕組みを教えて下さい。
A1 災害廃棄物処理の根拠
廃棄物処理法では「非常災害により生じた廃棄物の処理の原則」として、
第2条の3「非常災害により生じた廃棄物は、人の健康又は生活環境に重大な被害を生じさせるものを含むおそれがあることを踏まえ、生活環境の保全及び公衆衛生上の支障を防止しつつ、その適正な処理を確保することを旨として、円滑かつ迅速に処理されなければならない」
2「非常災害により生じた廃棄物は、当該廃棄物の発生量が著しく多量であることを踏まえ、その円滑かつ迅速な処理を確保するとともに、将来にわたって生ずる廃棄物の適正な処理を確保するため、分別、再生利用等によりその減量が図られるよう、適切な配慮がなされなければならない。」
と規定しています。
(1)非常災害時に生じた廃棄物(以下「災害廃棄物」という。)とは?
①地震・水害・台風などの自然災害によって発生した廃棄物
ア 災害より家具や家電等の家財が廃棄物になったもの
イ 損壊家屋等の解体より発生る廃棄物(解体廃棄物)
ウ 道路啓開や救助捜索活動に伴い生じる廃棄物 など
②避難所から排出される廃棄物
ア 被災した住民の排出する生活ごみ
イ 避難施設等で排出される生活ごみ
ウ 避難施設等の仮設トイレからのし尿 など
A2 災害廃棄物処理の仕組み
円滑かつ迅速な処理と分別、再生利用等によりその減量を図るには?
※災害廃棄物は一般廃棄物に区分され、処理責任は区市町村にあります。
(1)国‥‥‥災害廃棄物対策指針の策定
地方公共団体(都道府県、市区町村)による災害廃棄物処理計画の策定に資するとともに、災害時発生する廃棄物の処理を適正かつ円滑・迅速に行うための平時の備え、さらに発災直後からの応急対応、復旧・復興対策を地方公共団体が実施する際に参考となる必要事項をとりまとめたもの。
(2)地方公共団体‥‥‥災害廃棄物処理計画の策定
災害廃棄物処理計画とは大規模な災害が発生した際に、円滑かつ迅速な処理を行うともに、その減量ための分別、再生利用の方法等を定めた計画であり、被災地における公衆衛生の確保、生活環境の保全及び災害廃棄物の円滑な処理を推進するために作成されます。
ア 応急対策
災害発生直後から、被災地おいて、災害廃棄物の収集・運搬・一時保管を行う。この際、被災地内での処理が困難な場合は、近隣自治体や他都道府県への搬出も行われる。
イ 復旧・復興対策
応急対策後、一時保管場所等に集積された災害廃棄物を分別し、焼却(仮設炉を含む)や破砕等の中間処理より減容化、再生利用(リサイクル)を行い、残さ物を埋立処分する。
Q 令和5年9月に改定された「東京都災害廃棄物処理計画」について教えて下さい。
1 目的
(1)首都直下型地震をはじめとする非常災害の処理体制を確保し、適正に処理することにより、都民の生活環境の保全、公衆衛生上の支障を防止するとともに、早期の復旧、復興に資す る。更には、災害を克服した後も、都市の持続性を確保する。
(2)発災後に想定される事態を平常時にあらかじめ想定しておくことによって実効性を高め、発災初動期の混乱を最小限にとどめ、迅速な処理に向けて準備を進める。
(3)今後の都内区市町村における災害廃棄物処理計画の見直し等の参考に供するものとする。
2 災害廃棄物の発生量(万トン)
被害想定:多摩東部直下地震(M7.3)冬夕方、風速8m/s
区 分 | コンクリートがら | 木くず
|
金属くず | その他
(可燃) |
その他
(不燃) |
合計 | |
都市南部
直下地震 |
区部 | 2,256 | 215 | 87 | 40 | 277 | 2,874 |
多摩 | 197 | 31 | 8 | 4 | 35 | 276 | |
都市計 | 2,452 | 246 | 95 | 45 | 312 | 3,150 | |
多摩東部
直下地震 |
区部 | 1,581 | 181 | 62 | 31 | 216 | 2,070 |
多摩 | 463 | 61 | 19 | 10 | 77 | 630 | |
都市計 | 2,044 | 242 | 80 | 40 | 293 | 2,699 | |
(参考)
東京湾 北部地震 |
区部 | 2,835 | 302 | 186 | 75 | 648 | 4,047 |
多摩 | 157 | 25 | 10 | 6 | 43 | 240 | |
都市計 | 2,992 | 328 | 196 | 81 | 691 | 4,287 |
2 視点
(1)災害廃棄物の処理の実効性向上
①【仮置場の効率的な運営方法を提示】
最新の知見に基づき、災害廃棄物の処理期間を通して一定の割合で災害廃棄物を処理する運営方法を整理 (一定量仮置後処理⇒随時処理へ)
②【処理困難物等の処理の留意点等を提示】
危険物や平常時に区市町及び一部事務組合で直接処理していないものなどについて、主な処理先や処理の留意点を整理
(2)各主体との役割分担の整理・連携強化
①【災害廃棄物合同処理本部の設置を提案】
ア 発災時の合同処理本部の立ち上げ条件や、指揮命令系統を検討
イ 一部事務組合での受け入れ条件(種類・性状)や処理可能量の整理など、災害廃棄物を合同で処理するマニュアル等を整備
②【業界団体との連携を強化】
都と業界団体(東産協等)で締結している協定に基づいき、平時から区市町村と事業者が具体的な調整を図れるよう都がコーディネート
(3)風水害等への対策強化
①【水害専用の災害廃棄物推計式等の追加】
発災時に、区市町村が災害廃棄物の発生量推計に用いる推計式について、地震災害用に加え、新たに水害専用の推計式を追加
②【水害時の先行事例の取り込み】
水害被災自治体の事例や都のこれまでの支援の知見などを踏まえ、処理の流れに発災直前を追加し、初動期(発災直前、発災直後、~3日目)までの具体的取組事項を提示
(4)住民等への啓発・広報の充実
①【広報チラシに記載すべき事項を例示】
発災時に、区市町村が住民・ボランティアに対して分かりやすい広報ができるよう、チラシを作成する際のポイント(排出時の分別区分等)などを整理
②【災害廃棄物に関する知識の啓発や、災害時のごみの捨て方の周知の重要性を記載】
発災前から、住民に対する啓発の重要性とポイントを例示するとともに、先進的な自治体の取組を資料で示すことで、自治体の啓発に関する具体的な行動を促進
※『東京都災害廃棄物処理計画』(令和5年9月改定)より抜粋
Q 一般廃棄物の処理手数料の法的根拠について教えて下さい。
A 一般廃棄物の処理手数料について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第7条第12項で、以下のとおり定めている。(抜粋)
廃棄物処理法第7条第1項の許可を受けた者(一般廃棄物収集運搬業者)及び廃棄物処理法第7条第6項の許可を受けた者(一般廃棄物処分業者)は、一般廃棄物の収集及び運搬並びに処分につき、当該市町村が条例で定める収集及び運搬並びに処分に関する手数料の額に相当する額を超える料金を受けてはならない。
参考:東京23特別区の廃棄物処理手数料 40円/kg(現在)から令和5年10月1日より46円/kgに改定予定
Q1 普通産廃の石綿含有産業廃棄物に「汚泥」が追加になった経緯とその対応(手続き)について教えて下さい。
A1 「汚泥」追加の経緯について
特別管理産業廃棄物の「廃石綿等」及び産業廃棄物の「石綿含有産業廃棄物」の処理については、廃棄物処理法及び同法施行令により通常の産業廃棄物とは異なる規制を受け、それぞれに収集運搬及び処分の処理基準・埋立基準が設けられています。
この度、大気汚染防止法の改正(施行:令和3年4月1日)により、全ての石綿含有建材が特定建築材料として規制対象となり、従来の石綿含有吹付け材や石綿含有保温材等に加えて、新たに石綿含有成形板等や石綿含有仕上塗材が規制対象となりました。
これを受け、国(環境省)は「石綿含有廃棄物等処理マニュアル」を令和3年3月30日改定し、これまで石綿含有仕上げ塗材について、施工当時に吹き付け工法で施工されたものは特別管理産業廃棄物の「廃石綿等」に、それ以外の工法で施工されたものは産業廃棄物の「石綿含有廃棄物」に区分してきましたが、工法を問わず産業廃棄物の「石綿含有産業廃棄物」として取り扱うこととしました。
また、「石綿含有産業廃棄物」は主に「がれき類」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当するものとしてきましたが。石綿含有仕上塗材が廃棄物になったものは「石綿含有産業廃棄物」の「汚泥」に該当する場合があるとしました。
A2 「汚泥」追加への対応(手続き)について
今回の変更は、特定の廃棄物について、廃棄物の種類の解釈に変更があったもので、手続きについて許認可権限のある自治体により、対応の違いが生じる場合があります。
東京都の産廃処理業許可業者(産業廃棄物収集運搬業)が石綿含有廃棄物の「汚泥」の取扱いを希望する場合は、以下のような手続きになります。
(1)「積替え保管を除く。」の許可業者の場合
収集運搬できる産業廃棄物の種類に「石綿含有廃棄物」の「汚泥」を追加する場合の手続き等は下表のとおりとします。
既存許可証の事業範囲
(産業廃棄物の種類) |
「石綿含有産業廃棄物を含む。」
なし |
「石綿含有産業廃棄物を含む。」
あり |
「汚泥」なし | 変更許可申請 | 変更許可申請 |
「汚泥」あり | 変更許可申請 | 手続き不要 |
※ 石綿含有仕上塗材が廃棄物になったものは飛散性が高いおそれがあるため、耐水性プラスチック袋等により二重梱包を行うことが必要です。
※ 変更許可申請の際に、二重梱包等運搬容器の確認を行います。
※ 手続き不要の場合は、直近の更新許可申請の際に、同運搬容器の確認を行います。
(2)「積替え保管を含む。」の許可業者の場合
積替え保管できる産業廃棄物の種類に「石綿含有廃棄物」の「汚泥」を追加する場合の手続き等は下表のとおりとします。
(申請又は届出の前に事前計画書の提出が必要)
既存許可証の事業範囲
(産業廃棄物の種類) |
「石綿含有産業廃棄物を含む。」
なし |
「石綿含有産業廃棄物を含む。」
あり |
「汚泥」なし | 変更許可申請 | 変更許可申請 |
「汚泥」あり | 変更許可申請 | 変更届出 |
- 上記A1及びA2の記載内容については、令和3年6月1日の東京都環境局資源循環推進部産業廃棄物対策課の通知を抜粋
Q 「水銀使用製品産業廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」について、業の許可証への対応について教えて下さい。
A1 水銀廃棄物の適正処理の必要性
地球規模での水銀対策の必要性が認識される中、水銀による健康被害や環境破壊を繰り返さないために、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること」を目的とした「水銀に関する水俣条約」が2013年10月に採択されました。水俣条約は、先進国と途上国が協力して、水銀の供給、使用、排出、廃棄等の各段階で総合的な対策に世界的に取り組むことにより、水銀の人為的な排出を削減し、地球的規模の水銀汚染の防止を目指すもので、日本は2016年2月に締結し、水俣条約は2017年8月16日に発効しています。
水銀廃棄物の中でも、普段の生活や経済活動において取り扱う頻度の高い「水銀使用製品廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」について、まず「業の許可証への対応」を説明いたします。
A2 業の許可証への対応
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年環境省令第10号)が2017年6月9日に公布され、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等が定義され、2017年10月1日に施行されました。水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等には処理基準が追加され、許可において廃棄物の種類に「水銀使用製品廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれる取り扱いを明らかにすることが必要になりました。
東京都では、産業廃棄物処理業者であって水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等を取扱う場合、2022年(令和4年)9月30日までは「変更届」を提出して、新しい許可証を交付しています。(千葉県では「水銀廃棄物変更事項確認書」の提出等 都道府県で対応が異なる場合があります。)
「許可証の書き換え例(東京都)」
現状 産業廃棄物の種類:廃プラスチック類、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず
書換え後 産業廃棄物の種類:廃プラスチック類、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)
2022年(令和4年)10月1日以降は、変更届ではなく石綿含有産業廃棄物と同様に「変更許可」(手数料が必要)としての取扱いになります。