廃棄物・リサイクルQ&AQ & A
ゴールデンウイーク中にホームセンターで消火器を購入し、古い消火器を粗大ごみで出そうとしたら、役所から「適正処理困難物」なので粗大ごみとして扱えませんと言われました。「適正処理困難物」とはどのような物で、どのように処理したらいいのか教えてください。
1 「適正処理困難物」とは
家庭などから排出される一般廃棄物には様々なものがあり、なかには大き過ぎるため運搬や破砕がしにくいものや、処分の過程で引火や感染、有害物質の発生などの危険を伴うものがあります。一般廃棄物の処理は原則として区市町村が行うことになっていますが、こうした廃棄物は、区市町村がもつ技術や設備では、適正な処理を行うことが困難な場合が多くあります。
廃棄物処理法では、こうした廃棄物を環境大臣が「適正処理困難物」として指定できると定めています。
2 「適正処理困難物」の種類は
(1)廃棄物処理法処理法で指定されている廃棄物
①廃スプリングマットレス
②廃自動車タイヤ
③25インチ以上の廃テレビ
④250リットル以上の廃冷蔵庫
(2)区市町村が別に定めるもの
①有害性・危険性・引火性のあるもの
灯油、ガソリン、エンジンオイル、大量の花火・マッチなど
②処分作業等に支障があるもの
消火器、金庫、石膏ボード、レンガなど
③事業者に回収責任があるもの
バッテリー、ピアノ、タイヤなど
※区市町村長は、適正処理困難物の処理が適正に行えるよう、製造者や販売者などの事業者に協力を求めることができます。
3 処理方法は
消火器、タイヤ、金庫など適正処理困難物は、事業者による自主回収ルート(有料)を設けている場合がありますので、お住まいの区市町村の担当部署にお問い合わせ下さい。
年末に会社の大掃除をして、倉庫に廃棄を予定している品物がたまっています。新年になったので倉庫の中を整理する必要がありますが、具体的にどのような点に留意しながら廃棄物の処理をしなければならないのか教えてください。
1 廃棄物処理業者への委託
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)では、「廃棄物は排出者処理が原則」と言われています。しかし、実際に自分(会社)で焼却したり、埋立てたりすることは一般的には「不可能」なので、「義務はあるので、その経費を負担する」ことになり、現実的には廃棄物処理の許可を有する許可業者に、廃棄物の処理を委託(依頼)することになります。
2 品物(廃棄物)ごとの分類(分別)の必要性
廃棄物の処理を委託するにあたっては、廃棄物の収集運搬業の許可を持つ業者に委託する必要があります。廃棄物の許可は一般廃棄物、産業廃棄物の種別ごと、さらには「種類ごと」(一般廃棄物の場合、普通ごみ、廃家電、汚泥など(東京23区)、産業廃棄物の場合、廃プラスチック類、金属くず、木くず、繊維くずなど)になっています。コンプライアンスを遵守した、経済的な廃棄物の処理を行うためには、業者に廃棄物を引き渡す前に、廃棄する品目ごとの分類(分別)をしておくことが重要になります。
混在した廃棄物を分別しないで委託した場合、許可を持たない品物を委託処理する可能性や、モバイルバッテリー等に使用されているリチウムイオン電池など、処理過程において発火性のある危険物などが混入してしまう可能性があります。
さらに、運搬後の廃棄物を焼却や破砕、圧縮する処分業の許可も収集運搬業と同様に「種類ごと」の許可となっているので、適法な処分のためには、処分する前の選別作業が必要となり、その分の経費負担が発生します。
3 排出者(事業者)責任
廃棄物の処理を業者に委託した場合は必要な事項が記載されている契約書の締結が必要になります。また、契約を締結し、廃棄物を業者に引き渡した後でも、廃棄物処理法が規定する以下の排出者(事業者)責任を守らなければなりません。
(1)処理基準や保管基準を守ること。(基準を遵守する業者への委託)
(2)発生から最終処分まで処理状況を確認しておくこと。(マニュフェストの適正な発行と保管)
(1)の法令を遵守するための業者選択の一つとして、国の「優良産廃処理業者」制度や東京都の「産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル」制度を活用し、その認定を受けている業者と契約するなどの方法があります。
東京都の産業廃棄物処理業者の優良性基準適合認定制度である「産廃エキスパート」、「産廃プロフェッショナル」について教えてください。
1.東京都の優良性基準適合認定制度とは
この制度は、産業廃棄物の「適正処理」「資源化」「環境に与える負荷の少ない取組」を行っている産業廃棄物処理業者を、東京都知事から「第三者評価機関」に指定された「公益財団法人 東京都環境公社」(以下「公社」という)が審査し、法の順守状況に関する「遵法性」、事業運営に関する「安定性」、環境に配慮した「先進的な取組」について評価し、優良性基準適合事業者として認定する制度です。
2.制度の特徴
(1)産業廃棄物処理業者の事業内容や取組状況に対応し、2つの認定区分を設置
①産廃エキスパート(業界のトップランナー的事業者)
②産廃プロフェッショナル(業界の中核的役割を担う優良事業者)
(2)「遵法性」「安定性」「先進的な取組」の各取組について、公社が「書類審査」と「現地審査」の両方を実施する信頼性の高い総合評価です。
(3)公平・公正な評価
審査終了後に評価委員会を開催し、有識者や実務経験者などの専門家により評価し、最終認定します。
3.優良認定事業者に産業廃棄物処理を委託するメリット
認定の取得は有料かつ任意であり、新規取得者は2年、以降の更新は3年毎と、業の許可更新(5年又は7年)より短い期間での更新審査が必要で、自ら取得を目指す事業者は、意欲のある事業者と見なすことができます。
(1)業の許可基準より多くの審査項目をクリアしているので、その事業者と契約することへの説得力を付加することができます。
【審査項目の例】
①マニュフェストや処理帳簿、委託契約書等の管理などの法令順守体制
②財務状況
③インターネットによる情報公開
④労働安全衛生 など
(2)すでに第三者評価を受けている優良認定取得事業者を委託先とすることで、自社のコンプライアンス確保や環境配慮への取組のアピールとなります。
スプレー缶の捨て方*札幌市でのスプレー缶による爆発事故により、ニュース等でその捨て方が話題になっておりますが、どのような捨て方がいいのでしょうか。
スプレー缶が家庭から出される場合は、一般廃棄物としてその処理責任は地元区市町村にあり、事業活動により事業所等から出される場合は、産業廃棄物として排出者である会社にその処理責任があります。廃棄物処理の原則は「安全化、安定化、減量化」を行う行為であると言われており、スプレー缶などの爆発の危険がある物は、処理責任のある者がそれを安全に処理しなければなりません。
捨てる時に「穴を開けるか」、「そのまま出すか」という出し方の議論ですが、家庭から出されるスプレー缶は処理責任のある地元区市町村より違います。何故ならば、安全性を考慮しつつ、分別収集する場合の経費や空き缶となったスプレー缶を資源物として扱う(ごみ減量化につながる)か、不燃物として扱う(最終処分量が増える)か、また保有する選別処理施設や最終処分場の状況などそれぞれの自治体で処理の考え方や状況が異なることによるものです。
今は製品自体にも中身を出し切るためのキャップや装置など工夫はされていていますが、中身が残っていれば爆発性のあるものなので、排出過程で家や会社での火災、処理過程で清掃車や選別処理施設等での火災や災害につながります。
まず、排出者となる個々人が「安全」を意識して処理する必要があります。
「不法投棄」宮城県金華山の宮司等が神社の敷地内に蛍光灯や灯篭を不法投棄し、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕され、宗教法人の神社とともに書類送検された新聞記事を見ましたが、どのような行為が「不法投棄」にあたるのでしょうか。
廃棄物処理法第16条で、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」とされており、これに違反した場合は、5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金に処せられ、併科される場合もあります。また両罰規定が適用され、行為者だけでなく、所属する法人等に対しても罰金刑が科されます。
いくつかの自治体でごみのポイ捨て条例を制定し、過料を科す場合がありますが、廃棄物処理法第16条の「不法投棄」を科すには様々な要因が必要かと思われます。
1.故意に何回も連続して、廃棄物を投棄した
2.大量の廃棄物を投棄した
3.有害な又は危険な廃棄物を投棄した
4.投棄された物やその状況が周辺環境等に大きな影響を及ぼした又は及ぼしている など
また、投棄された物が「有価物か廃棄物か」(有価物であれば、廃棄物処理法は適用されない)、「不法投棄か保管基準違反か」(保管基準違反であれば直罰規定はなく、「改善命令」「措置命令」などの行政指導の後、それに従わない場合は告発)など「不法投棄」と断定することの難しさがあります。
「不法投棄」についての定説はないのが現状ですが、過去の判例においても「自分の土地であっても不法投棄になる」「埋立地の中であっても不法投棄となる」
というのがありますので、自分の管理下にある土地なら何をしてもいいということにはなりません。