廃棄物・リサイクルQ&AQ & A
Q 「水銀使用製品産業廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」について、業の許可証への対応について教えて下さい。
A1 水銀廃棄物の適正処理の必要性
地球規模での水銀対策の必要性が認識される中、水銀による健康被害や環境破壊を繰り返さないために、「水銀及び水銀化合物の人為的な排出から人の健康及び環境を保護すること」を目的とした「水銀に関する水俣条約」が2013年10月に採択されました。水俣条約は、先進国と途上国が協力して、水銀の供給、使用、排出、廃棄等の各段階で総合的な対策に世界的に取り組むことにより、水銀の人為的な排出を削減し、地球的規模の水銀汚染の防止を目指すもので、日本は2016年2月に締結し、水俣条約は2017年8月16日に発効しています。
水銀廃棄物の中でも、普段の生活や経済活動において取り扱う頻度の高い「水銀使用製品廃棄物」及び「水銀含有ばいじん等」について、まず「業の許可証への対応」を説明いたします。
A2 業の許可証への対応
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年環境省令第10号)が2017年6月9日に公布され、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等が定義され、2017年10月1日に施行されました。水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等には処理基準が追加され、許可において廃棄物の種類に「水銀使用製品廃棄物」又は「水銀含有ばいじん等」が含まれる取り扱いを明らかにすることが必要になりました。
東京都では、産業廃棄物処理業者であって水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等を取扱う場合、2022年(令和4年)9月30日までは「変更届」を提出して、新しい許可証を交付しています。(千葉県では「水銀廃棄物変更事項確認書」の提出等 都道府県で対応が異なる場合があります。)
「許可証の書き換え例(東京都)」
現状 産業廃棄物の種類:廃プラスチック類、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず
書換え後 産業廃棄物の種類:廃プラスチック類、金属くず、ガラス・コンクリート・陶磁器くず(水銀使用製品産業廃棄物を含む)
2022年(令和4年)10月1日以降は、変更届ではなく石綿含有産業廃棄物と同様に「変更許可」(手数料が必要)としての取扱いになります。
2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」について教えて下さい。
1 法律の概要
プラスチック製品について、設計の段階から廃棄物となった後の処理までに関わる製造者、販売者、排出事業者、自治体などのすべての当事者に対して、プラスチック製品の使用削減、資源循環を求める法律です。
2 立法の背景
海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等への対応を契機として、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっています。このため、多様な物品に使用されているプラスチックに関し、包括的に資源循環体制を強化する必要があります。
3 役割分担
(1)設計・製造事業者、販売・提供事業者
①環境配慮設計の促進
「プラスチック使用製品設計指針」に即してプラスチック使用製品を設計すること。
ア 減量化・包装の簡素化、長期使用化・長寿命化、イ 部品の再使用・再利用の容易化、ウ 単一素材化、分解・分別の容易化、エ 他素材への代替、オ 再生プラスチック、バイオマスプラスチックの利用など
②プラスチック使用製品の使用の合理化
業種や業態の実態に応じて有効な取組を選択し、当該取組を行うことによりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制すること。
ア 無料で配られる使い捨てのプラスチック製品(フォーク、スプーン、ストローなど)を有償で提供する、必要か否かを確認する、不要とした場合ポイントを還元等する。
イ 繰り返しの使用を促す。
③自ら製造・販売したプラスチック使用製品の自主回収・再資源化を率先して行うこと。
(2)排出者(消費者)、排出事業者
①プラスチック使用製品の過剰な使用を抑制し、プラスチック使用製品廃棄物の排出抑制に努めること
②事業者及び市町村双方の回収ルートに適した分別排出すること
③認定プラスチック使用製品(上記(1)①の製品で国の認定を受け
た製品)を使用することに努めること
④排出事業者としてプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑
制及び再資源化等を実施することに努めること
(3)区市町村
容器包装プラスチックリサイクルの仕組みの活用など、家庭から排出されるプラスチック使用製品の分別収集・再商品化に努めること。
(4)都道府県
区市町村に対し必要な協力を行うこと
(5)国
プラスチックに係る資源循環の促進等のために必要な資金の確保等の措置を講じるよう努めること
4 設計・製造から廃棄及びリサイクルされるまでの取組
本年9月、東京都から「東京都資源循環・廃棄物処理計画」を策定したとの報道発表がありましたが、廃棄物処理における国及び都道府県、市区町村のそれぞれの役割について教えて下さい。
1 国の役割
(1)国の責務(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(「以下「廃掃法」という。」第4条第3項)
① 先進的な廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用並びに廃棄物の処理に係る技術開発の推進を図る。
② 市区町村及び都道府県に対し、必要な技術的、財政的な支援並びに広域的な見地から調整を行う。
(2)基本方針の策定(第5条の2)
「廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針」
(3)廃棄物処理施設整備計画の策定(廃掃法第5条の3)
2 都道府県の役割
(1)都道府県の責務(廃掃法第4条第2項)
①市区町村に対する一般廃棄物の処理等に係る必要な技術的支援
②都道府県の区域内にある産業廃棄物の適正処理に関する責務
(2)都道府県廃棄物処理計画の策定(廃掃法第5条の5)
都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県内の区域内における廃棄物
の減量その他その適正な処理に関する計画(廃棄物処理計画)を定めなけれ
ばならない。
3 市区町村の役割
(1)市区町村の責務(廃掃法第4条第1項)
①その区域内における一般廃棄物の減量に関し、住民の自主的な活動の促
進を図り、その適正な処理に必要な措置を講ずる。
②一般廃棄物処理事業実施に際しての職員の資質向上、施設の整備、作業方
法の改善等能率的な運営
(2)一般廃棄物処理計画の策定(廃掃法第6条第1項)
市町村は当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(一般廃棄
物処理計画)を定めなければならない。
※国、都道府県、市区町村の責務はそれぞれ努力義務
ゴールデンウイーク中にホームセンターで消火器を購入し、古い消火器を粗大ごみで出そうとしたら、役所から「適正処理困難物」なので粗大ごみとして扱えませんと言われました。「適正処理困難物」とはどのような物で、どのように処理したらいいのか教えてください。
1 「適正処理困難物」とは
家庭などから排出される一般廃棄物には様々なものがあり、なかには大き過ぎるため運搬や破砕がしにくいものや、処分の過程で引火や感染、有害物質の発生などの危険を伴うものがあります。一般廃棄物の処理は原則として区市町村が行うことになっていますが、こうした廃棄物は、区市町村がもつ技術や設備では、適正な処理を行うことが困難な場合が多くあります。
廃棄物処理法では、こうした廃棄物を環境大臣が「適正処理困難物」として指定できると定めています。
2 「適正処理困難物」の種類は
(1)廃棄物処理法処理法で指定されている廃棄物
①廃スプリングマットレス
②廃自動車タイヤ
③25インチ以上の廃テレビ
④250リットル以上の廃冷蔵庫
(2)区市町村が別に定めるもの
①有害性・危険性・引火性のあるもの
灯油、ガソリン、エンジンオイル、大量の花火・マッチなど
②処分作業等に支障があるもの
消火器、金庫、石膏ボード、レンガなど
③事業者に回収責任があるもの
バッテリー、ピアノ、タイヤなど
※区市町村長は、適正処理困難物の処理が適正に行えるよう、製造者や販売者などの事業者に協力を求めることができます。
3 処理方法は
消火器、タイヤ、金庫など適正処理困難物は、事業者による自主回収ルート(有料)を設けている場合がありますので、お住まいの区市町村の担当部署にお問い合わせ下さい。
年末に会社の大掃除をして、倉庫に廃棄を予定している品物がたまっています。新年になったので倉庫の中を整理する必要がありますが、具体的にどのような点に留意しながら廃棄物の処理をしなければならないのか教えてください。
1 廃棄物処理業者への委託
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)では、「廃棄物は排出者処理が原則」と言われています。しかし、実際に自分(会社)で焼却したり、埋立てたりすることは一般的には「不可能」なので、「義務はあるので、その経費を負担する」ことになり、現実的には廃棄物処理の許可を有する許可業者に、廃棄物の処理を委託(依頼)することになります。
2 品物(廃棄物)ごとの分類(分別)の必要性
廃棄物の処理を委託するにあたっては、廃棄物の収集運搬業の許可を持つ業者に委託する必要があります。廃棄物の許可は一般廃棄物、産業廃棄物の種別ごと、さらには「種類ごと」(一般廃棄物の場合、普通ごみ、廃家電、汚泥など(東京23区)、産業廃棄物の場合、廃プラスチック類、金属くず、木くず、繊維くずなど)になっています。コンプライアンスを遵守した、経済的な廃棄物の処理を行うためには、業者に廃棄物を引き渡す前に、廃棄する品目ごとの分類(分別)をしておくことが重要になります。
混在した廃棄物を分別しないで委託した場合、許可を持たない品物を委託処理する可能性や、モバイルバッテリー等に使用されているリチウムイオン電池など、処理過程において発火性のある危険物などが混入してしまう可能性があります。
さらに、運搬後の廃棄物を焼却や破砕、圧縮する処分業の許可も収集運搬業と同様に「種類ごと」の許可となっているので、適法な処分のためには、処分する前の選別作業が必要となり、その分の経費負担が発生します。
3 排出者(事業者)責任
廃棄物の処理を業者に委託した場合は必要な事項が記載されている契約書の締結が必要になります。また、契約を締結し、廃棄物を業者に引き渡した後でも、廃棄物処理法が規定する以下の排出者(事業者)責任を守らなければなりません。
(1)処理基準や保管基準を守ること。(基準を遵守する業者への委託)
(2)発生から最終処分まで処理状況を確認しておくこと。(マニュフェストの適正な発行と保管)
(1)の法令を遵守するための業者選択の一つとして、国の「優良産廃処理業者」制度や東京都の「産廃エキスパート・産廃プロフェッショナル」制度を活用し、その認定を受けている業者と契約するなどの方法があります。