コラムColumn
海ごみと海ガメ
2018/12/12
海洋プラスチックごみ(以下「プラごみ」)が様々なところで話題になっています。
プラスチックストローを海ガメの鼻から引き抜く映像が衝撃的だったため、ストローをプラスチック製から紙製などに代える外食店やコーヒーショップ、コンビニが出てきています。
プラごみは、レジ袋やペットボトルから漁網まで様々です。海ガメの好物はクラゲで海洋を漂う姿がレジ袋と似ているため、海ガメやクジラなどの海洋生物が摂取すると消化出来ず、栄養が取れなくなり病気の原因になったりします。
さらに問題となっているのは、プラごみが紫外線や波で壊れ小さくなったマイクロプラスチック(およそ5ミリ以下)です。
マイクロプラスチックは、プランクトンなど小さな生物に取り込まれ、それを魚が食べ、食物連鎖で人体からも検出されているというデータも出ています。
脱プラスチックの動きは世界で急速に広がっております。
日本では今までも、容器包装リサイクル法などプラスチック製品のリサイクル制度はありましたが、さらにレジ袋を有料にする法制化が検討されております。
軽く、丈夫で便利なプラスチック製品の使用抑制は、生活様式を見直す契機になるとともに、その原料は石油や石炭、天然ガスなどの化石資源であるため、地球温暖化の抑制にも繋がります。
晩秋の山々
2018/11/08
秋も深まり、本州の山々は紅葉シーズンですが、北海道や東北の山々からは雪の便りも聞こえます。
今は、冬ごもりする前の静寂なシーズンです。
そんな山々の一つである南アルプスの山中に、焼却灰や生ごみが放置されていたとの新聞記事に目が留まりました。付近の山小屋から排出されたもので、廃棄物処理法の不法投棄の疑いもあるとのこと。
山小屋は登山者にとって大切な休憩・宿泊所であり、緊急時の避難所でもあります。アクセスが困難で近くに処理施設のない山での廃棄物処理は大変で、経費も掛かると思いますが、自然公園法でも自然環境の保護と快適で適正な利用の推進がうたわれており、廃棄物の適正処理は重要になります。
自然災害と災害廃棄物処理
2018/10/15
大阪北部地震、西日本豪雨、北海道地震、台風21、24、25号……
今年は大規模な自然災害が相次いで日本列島を襲っております。幸いにも東京には大きな被害をもたらしていませんが、今から5年前の2013年10月16日、都心から約120㎞南に位置する伊豆大島(東京都大島町)では、台風豪雨に伴う大規模な土石流により、死者35名、行方不明者4名、被害家屋80余戸という甚大な被害が発生しました。
自然災害発生後の初動対応として、先ずは人命救助、電気・水道・ガスなどのライフラインの復旧ですが、復興の最初の段階で「災害廃棄物」の処理が必要になります。災害廃棄物は廃棄物処理法では一般廃棄物として区分されますので、その処理責任は地元自治体の区市町村にありますが、自然災害では一度に大量の災害廃棄物が発生します。東京都の災害廃棄物処理計画では、東京湾北部に大地震が発生した場合の災害廃棄物の量を4047万トンと推計しており、この量は23区自治体で処理するごみ量の約15年分にあたります。さらに自治体の処理施設では処理が困難なコンクリートがらや廃自動車、廃家電等も処理しなければなりません。
これらの災害廃棄物を適正に迅速に、かつ出来るだけ資源化して処理するには、一般廃棄物や産業廃棄物の収集・運搬、処理事業者の力が必要になります。
このため国は災害対策基本法で、自治体からの委託を受けて災害廃棄物処理を行う事業者の許可を不要としたり、廃棄物処理法で災害時において産業廃棄物処理施設が許可ではなく届出により一般廃棄物である災害廃棄物を処理できる規程や再委託を可能とする規定を定めています。
廃棄物
2018/09/18
9月15日より廃棄物処理業関係を中心に行政書士の業務を始めました。
廃棄物(ごみ)は人が生活して行くうえで、また企業が活動して行くうえで必ず排出されるものです。
生活ごみは排出者である住民が、定められた日にごみと資源に分別して排出し、地元の自治体(区市町村)が定期的に収集し、処理します。
事業系のごみは、排出者である会社が排出される廃棄物の量や性状により、処理業の許可(一般廃棄物・産業廃棄物)を持った処理業者への委託や自治体へ処理手数料を支払い処理をするのが一般的です。
最近、廃棄物の報道等でよく出てくるのが、「災害ごみ」と「海ごみ」です。
資源化できるものは資源化し、適正かつ迅速に処理をしないと、生活環境や自然環境、さらには生態系に大きな影響を与えます。
高山植物
2018/08/23
(写真左:白馬の雪渓とチングルマ、写真右:劔岳のイワギキョウ)
夏山シーズンもそろそろ終わり。
暑い登山の途中、疲れた体と心を癒してくれるのは高山植物の花です。
ひと夏の短い間に、様々な種類の花が咲きます。
なかなか花の名前を覚えることはできませんが、途中に咲いていた高山植物の花の姿は記憶に残ります。
硫黄島と南硫黄島
2018/08/06
(写真:左 硫黄島:米軍が上陸した海岸と激戦地すり鉢山、写真中:太平洋に昇る朝日、写真右:南硫黄島:原生自然環境保全区域)
8月15日は太平洋戦争の終戦記念日。
硫黄島は都心から約1,250㎞離れた太平洋上の島で、映画「硫黄島からの手紙」で描かれたように、日米の戦死者約2万5千人の激戦地でした。東京都小笠原村に属しますが、今は自衛隊の基地として、一般人の立ち入りは遺骨収集や村民の墓参に限られており、世界自然遺産地域からも除かれています。
また、母島で内地への搬送が必要な緊急患者が出た場合、硫黄島からヘリコプターが飛来し、硫黄島で患者を自衛隊機に載せ替え、内地へ搬送されます。
南硫黄島は硫黄島からさらに約50㎞南に位置しています。
世界自然遺産地域に含まれていますが、自然環境保全法に基づく原生自然環境保全区域として全域が立入制限区域となっており、やはり上陸が制限されています。原生自然環境保全区域は、人間による環境への影響が少なく原始の自然が残されている地域で、南硫黄島ではこれまで環境省や東京都などによる学術調査が数回行われ、貴重な生態系の存在が確認されています。
旬(夏野菜)
2018/07/17
(写真左:ミニトマト 写真中:ピーマン 写真右:なす)
夏は野菜や魚貝類など旬を迎える食べ物が多くあります。
特に野菜類はトマト、ピーマン、ナス、キュウリ、トウモロコシなど彩りが鮮やかです。
この彩りは、食欲をそそるとともに、その野菜の栄養価が高いことを示すものでもあります。今ではビニールハウス等での栽培により、1年中様々な種類の野菜が店頭に並び、その季節感は薄らいできていますが、旬のものには独特の「香 り」があります。
また、大量に出荷される時期でもあり、値段も安価です。旬の野菜を沢山食べて、今年の暑い夏を過ごしたいものです。
小笠原諸島(世界自然遺産)
2018/06/22
(写真左:殻が退化したカタツムリの一種 写真右:東京都版エコツーリズムの南島)
小笠原諸島(小笠原村)は6月26日、太平洋戦争後のアメリカによる占領施策から日本への施政権返還50年を迎えます。その小笠原諸島は7年前の2011年6月に世界自然遺産として登録されました。世界遺産の登録基準は10項目あり、1~6項目が文化遺産、7~10項目が自然遺産となっています。
自然遺産の4つの登録基準である「自然景観」、「地形・地質」、「生態系」、「生物多様性」のうち「生態系」のすばらしさが評価され登録されました。小笠原諸島は、透き通る濃い海の青「ボニンブルー」のイメージがあり、自然遺産の価値は「海」と思われがちですが、実は一度も大陸とつながったことがない「陸」の「生態系」にあります。
それを示す代表が写真にある「カタツムリ」です。樹の上・中・下・地中でそれぞれ違った種のカタツムリが見られ、進化の過程を見ることができます。
しかし、小笠原諸島でも、クマネズミや土中にいるプラナリアにより、生息域が狭まりその種や数が減少しています。
小笠原の父島や母島への乗船・下船時に靴底の土を落とし、きれいにしてもらうのは、プラナリアなどの外来種を持ち込ませない対策です。
小笠原父島は、東京から南へ約1000㎞、東京竹芝桟橋から「おがさわら丸」に揺られて24時間、母島へは父島からさらに南へ50㎞、父島二見港で「ははじま丸」に乗り換えて2時間です。
世界自然遺産地「小笠原」で3泊して、また船に揺られながら東京に戻って来ます。運が良ければ「おがさわら丸」に乗船中、太平洋の大海原から昇る朝日や沈む夕日を眺めることが出来るかも知れません。
それは「非日常」への窓口となり得ると思います。
非日常
2018/05/30
(写真左:伊豆大島の海中 写真右:石垣島の海中)
入学や就職、転勤等で4月から新たな生活を始めた方々にとっては、2ケ月近くが過ぎ、
学校や職場にも慣れ、ようやく緊張がほぐれてくる頃ですが、
未だ生活・職場環境の変化に戸惑っている方もいるかと思います。
梅雨を控えたこれからの時期は、体調だけでなくメンタルヘルスにも影響が出るかも知れません。
その対処方法は人それぞれですが、日常の生活から少し離れてみるのも一つの方法かもしれません。
旅行など日常から直接離れることや、読書など間接的に離れる方法もあります。
どちらにしても一時、学習や仕事から距離を置いて、客観的に自分を見てみることが
必要かと思います。
山行
2018/05/07
(写真左:新緑に映える山ツツジ 写真右:夏の北アルプス)
5月は新緑の季節、山々でも青葉が映えます。
これから夏にかけては花の季節、秋には紅葉、冬には雪景色と同じ山でも様々な顔を見せてくれます。登るルートも、岩登り、沢登り、尾根歩きと、登る方法や厳しさにそれぞれ違いがあります。
どの季節にどのルートを登るかは、人それぞれです。
頂上にたどり着き、ひと息ついた後、お弁当を食べながら景色を眺めます。
当たり前ですが、登った山は下りなければなりません。山を下るルートも何通りかあります。
どのルートを下るかは、天候や時間、体力、技術などと相談しながら下るルートを決めます。
どの季節、どのルートの山行でも一番大切なのは、無事にその登山を終了することです。